*道楽的大阪・京都紀行* 
その5。紅葉大混雑回避京都周遊大作戦!南→西→北編(-.-;;





11/20(水)
ぐっすり眠り、7時半起床。かなり冷え込んだ様子。
8時に階下にある大広間にて朝食。
炊きたてご飯とワカメの味噌汁(白味噌)におかず5種、梅干・お新香。
正しい日本の旅館の朝ごはん。
銀杏入りのがんもの煮付けと、大きめにカットされたタラコの昆布巻が美味
しくてご飯が進む(^-^*
けど、胃のキャパがそんなに大きくなくて朝から全力出してしまうとお昼が
食べられなくなってしまうので、ちょっと我慢して控えめにいただく。

宿を出ると、道路を挟んで目の前には東本願寺が冷えた空気の中に凛と
した風情で建っていた。
その手前に銀杏の街路樹が黄色く美しく続いている。
荷物抱えたまま東本願寺の境内に入り、ちょっとだけ見学。
ここの講堂は広くて清々しくて美しいのだけど、今日はここで時間を潰して
しまうワケにはいかないので、すぐに京都駅に向かって歩き出す。
駅のコインロッカーに荷物を預け、帰りの新幹線のチケットを取る。
ほぼ希望通りの時間に出発・到着するのぞみに乗れるようで、まずはこれで
一安心。身軽になって今日最初の目的地に向かう。

9時半近く、JR奈良線の各停に乗り、2駅の“稲荷駅”に向かう。
まずは伏見稲荷に行って今年の御札を返し、来年の御札を貰うのだ。
Sは伏見稲荷に行くのは初めて。
神社っぽい駅のデザイン自体や降りた途端にある大きな鳥居にきょろきょろ。
ここは全国の稲荷の総本山で、そのご利益故に初詣にはシャレにならない
くらい沢山の参拝客が来るんだよ!というと、ふむふむ。千本鳥居の大きい
のを見て、へ〜っ!と驚いている。門をくぐり広い境内に入る。
お神楽が聞こえ、なになに?と覗きこむと、本殿でご祈祷が始まった。
黒装束で正装した宮司さんが祝詞を上げる声が音律のようで。。。
白壁に朱塗りの柱、五色の垂れ幕が風にふぅわりと揺れる。
ここの本殿は鮮やかで美しく、静謐な雰囲気が漂う。
横目でそれを見つつ、奥社に向かう。
私はここ数年、毎年ここの奥社で御札を貰っているのだ。そこに到るまで
千本鳥居の参道が続く。ここは
まだ序の口なのだが、Sは圧倒された様子。途中二股に分かれるが、どち
らへ行っても奥社に続く。この早い時間の割りにはいつもより人は多いが、
何故かひっそりした参道を行く。
奥社で御札を返し、新しいものをいただく。今年は家内安全と商売繁盛の
をもらったけど商売は全く繁盛しなかったので、来年用に家内安全の御札
を2種類受ける。
最近ウチで怖いことがあったばかりなので、おキツネ様に守ってもらおう(^-^;

奥社から、山中に張り巡らされた参道を少し歩く。
参道には延々と鳥居が立てられていて、その合間に小さなお社があったり、
一休み出来る御茶屋さんがあったりするが、かなりの山道だ。
ひっそりと暗く、どことなく怪しげな千本鳥居の下を行く。途中、鳥居を立て
る工事をしていて、あの巨大な鳥居が全部パーツに分けられる組み立て式
である事を初めて知る。それでも3〜4人がかりの様子。
鳥居は木製なのでいくら漆や防腐剤を塗ってあるとはいえ古い物は朽ちて
くる。メンテナンスは大変だろうなぁ。。
本気で歩くと小一時間はかかってしまうので、途中の三の辻で元来た道を
引き返す。奥社から本殿横を抜け、今度は正面の大鳥居の方へは向かわ
ずに裏参道とよばれる横道を下りる。
両脇にはお土産屋さんや食べ物屋さんが並び、ちょっと懐かしい風景。
ここではありとあらゆる神道グッズ、お稲荷さんグッズが手に入る。アヤシゲな
お土産も、狐面を模った稲荷煎餅も切り山椒、オアゲに寿司飯のおいなり
さんも、きつねうどんもある。
そんな中でも目に付くのは“寒すずめ”“うずら”と書かれた札で、串に刺した
見本が置いてある。
ちょっと躊躇するSを説き伏せ“寒すずめ”の焼き鳥を注文。
そこに置いてあるのをくれるのかと思ったら、奥から生のが出てきて、店頭で
炭火で炙って焼きだした。お茶までもらって、お店の前の緋毛氈で待つ。
たった一串しか買っていないのに、とても丁寧に焼いてお皿に乗せて持って
きてくれた。一串2羽分。頭ごと丸焼きにしたのが出てくる。
で、頭からがりがり骨ごと食べる。ちょっと固めで個性的な歯応えの珍味。
私は実はこの寒すずめがちょっと好き(^-^*
Sもふ〜ん。。といいつつ、食べ出したらしっかり食べる。

京阪の駅まで歩き、11時すぎの電車に乗り出町柳駅まで行く。
そして定番の「出町ふたば」まで行くと店頭にはかなりの行列。
いつももっと早い時間に来てたので並んだ事はなかったけど、行列するって
のは本当だったんだぁ。。
定番の豆もちと、新栗の季節限定丹波栗使用の“栗もち”を買う。
もう時刻は昼近く。次の目的地は嵐山。天龍寺の特別拝観に行くのだ。
鴨川沿いの川原をほてほてと、散歩気分で丸太町通りまで歩く。
快晴、微風。絶好のお散歩日和。
ゆるゆると流れる浅い川の水面には、ぞっとするくらいのカモメの大群や、
ひっそり佇む白鷲、青鷺。川原には擬態してたのかと思うくらいのスズメの
大群が遊ぶ。子供が駆け回り、本を読んだり絵を書いたりぼ〜っと座って
いる人もちらほら。
街中とは思えない自然で穏やかな景色。
京都観光で疲れたらこの川原沿いで一息つくのがお薦め。

丸太町京阪前から93系統の市バスの乗る。12:13。
運良く座れたがそこからどんどん混んできた。道もどんどん混んできて。。。
嵐山の手前からは車内ぎゅ〜ぎゅ〜、車は牛歩。通常なら30分足らずの
道のりを1時間近くかけて嵐山に着く。
車内から眺めているだけでもうんざりぐったりする人出。嵯峨野に入る細道
など、休日の原宿の竹下通りと見まごうばかりの人・人・人。。
わ〜〜っ!!\(◎o◎)/
とうとうバスが前に進まなくなってきたので、天龍寺前で下車。
季節外れにはいつも閑散としてて静かな天龍寺の境内が、休日の渋谷駅
前か新宿駅か。。というくらいの混雑ぶり。これ決して大袈裟じゃない。
人混みが大の苦手な私はここでもうげんなり。。
お目当ての湯豆腐屋「西山艸堂」もお休みでがっかり。。
気を取り直して特別拝観をやっている天龍寺宝巖院を探すがなかなか見
つからず。
もう少し分かりやすい所に看板出しておいてくれれば良かったのに。。
迷い迷って辿りつくと入口までなが〜いなが〜〜い行列(T-T)
ここでは実に140年ぶりの公開という“獅子吼えの庭”が見られるという。
ヤケに混んでると思ったら、昨日TVで出たんだと並んでいる人の会話で知
った。あ〜あ。。(-.-;;

かなり並んで入ってみても、中の道は行列したまま進むしかない(-"-;
お庭の方も流石に140年間未公開だっただけあって、かなりワイルド(笑)。
それなりに手は入れてあるのだが、ゆっくり見て歩く事が出来ないのだから
味わうにも限度がある。そもそも大岩を割って生えてきた松やら丸石を敷き
詰めて池に見立てたものやらワイルド系。
玉砂利のところでアラブ系の親子連れのベビーカーが遭難してたのだけ良く
覚えている(^-^;

何か食べようにもすごい混みよう。
空腹抱えすっかり疲れ切ってしまいとうとう私の中で何かがキレた(-"-;
嵯峨野が見たいと言っていたSもあまりの混雑にもういい、という。
保津川沿いを歩き、京福電鉄の駅へ向かう。駅は新しくなったばかりで
妙にリッパになっていた。昔のいかにもローカルっぽい雰囲気のちっちゃい駅
の方が風情があったのに。。
でも全線200円は変わりなし。ちっちゃな電車も変わりなし(笑)
そうして大混雑阿鼻叫喚の嵐山を脱出したのであった。。

15時ちょっと前、龍安寺道駅で下車。ど〜しても湯豆腐が食べたかったの
で、きっと空いているであろう龍安寺境内の湯豆腐屋さんに向かって直進
する。ここは竜安寺の拝観料を払って中に入り、石庭がある方丈に入らず
に鏡容池に向かって行くと、その手前に「西源院」という塔頭の建物を使っ
たお店がある。
ここのウリは“七草湯豆腐”。南禅寺辺りのとは違って、野菜数種が湯豆腐
と一緒に入っている。
ここは湯豆腐とご飯が別々に注文出来る。
でも今日はかなりお腹が空いていたので湯豆腐とお料理・ご飯がセットに
なったものを注文。
ここの庭はこじんまりとしているが良く手入れされていた。地面に落ちたまま
にされた紅葉が絵のよう。遠く見える鏡容池の周囲の見事な景色も借景
に、今回京都に来てはじめてゆっくり紅葉を楽しむ。
店内も流石に時間が時間なので空いていて、ほっと一息つけたかな。
土鍋にたっぷりの湯豆腐。白菜やニンジン、ピーマンなどが入っていて彩り
も美しいし味もよい。美味しく炊けたご飯に精進物。白合え、胡麻豆腐、
野菜と生麩や揚げ麩の炊いたの(煮物)に山菜、お新香少し。
それもが美味しくしみじみする味。
余分な音楽も何もない静かな店内で舌鼓を打つ。
給仕してくれたおばちゃんも明るくて、嵐山があまりに混んでたのでここを
思い出して来ました、というと、そ〜でしょ〜あっちはスゴイのよね〜と。
しばしお喋り。お腹いっぱいになって、お茶を飲みつつほっとする。

てっきり拝観時間が16時までかと思っていたので、ちょっと慌てて通常の
順路逆行し、15:50に方丈に入る。
ここには、かの有名な石庭がある。
本やTVで知る人も多いこの石庭は本当に静謐で、無駄がなくすっきりと
した佇まいながらも遊びがある。
写真や画像で見るとかなり大きく広く見えるが、それは塀の高さをわざと
変えて遠近法を惑わす構造のせいで、実際はこぢんまりしている。
水面に見立てた白い砂利が15個の石の間をたゆたう様を眺める。
Sはここを見るのは初めてなので、知ってる限りの知識を駆使して少し
レクチャー。ここには縁があって過去何度も訪れている。
最初に来たのは高校の修学旅行の時だったか。。あの時ゆっくりここを
見る事が出来なかったのを悔やんで後にここを訪れてみた。
湯豆腐屋もすっかり気に入ったので、結局何回もここに足を運ぶことに
なった。月並みだけどこの石庭を見ていると心が静まる。
美しく、何か大きなモノを秘めていながらそれは自分で考えなさいと言わ
れているような穏やかさが私を呼ぶ。Sはどう感じだのだろう?

       

方丈内とぐるっと見て、敷地内を歩く。どこもかしこも見事な紅葉なのに、
そんなに混んでいないのでじっくりゆっくりぽてぽて歩きながら秋の風情を
楽しむ。普段よりちょっとは人が多いかな?でもここは敷地自体が広い
ので、このくらいの人数なら気にならない。
池に移る紅葉の見事さに、しばし歩を忘れて感嘆する。
ここに来たのは正解だった。南の伏見から嵐山、そして北の龍安寺まで
かなりの大回りだったけど、終わりよければ全て良し(^-^;
ここの拝観時間が17時までである事を今回初めて知った。
だったらもっとゆっくりしても良かったのか。。

なかなか時間通りには来ない59系統の市バスがすぐに来て、それに乗り
込む。金閣寺周辺も観光シーズンでえらく混んでいた。どう考えても普段
ですら慢性渋滞状態にある京都駅までの道のりをこのままバスに乗ってて
もしょうがないだろう、って事で、烏丸今出川で下車。
地下鉄で京都駅に向かう。ちょうど来た電車の車体にはも〜上から下まで
隙間無く蒔絵やら日本絵やら芸術品から引っ張り出してきたような模様が
ついていた。。どうやら京都の地下鉄創業20周年??
思わず下車して走り去る前に写真を撮ってしまった(^.^;

       

京都駅の土産物屋さんや伊勢丹をうろうろし、最後にお土産やら「いづう」
の鯖寿司やらを買い込んで、駅2階のカフェで時間を潰す。

帰りの電車は18:43発のぞみ88号。
駅弁を食べるほどお腹が空いていなかったので、出町ふたばの豆もち1個と
栗もち1個をいただく。
栗もちには大粒の渋皮付きの栗が真っ白な大福の皮から透けて見せるよう
に乗せられていて、大層色っぽい(笑)味も控えめな甘さで栗の味が引き立
ち美味(^-^*
これは秋限定だからまた来年も秋に行かねば!と思ったけれど、秋の京都
はゆっくり観光したい派には向かない。。
じっくり見るなら夏か冬?気候的には厳しいけれど、梅が咲き出す晩冬の
頃が結構いいと思う。
って言っても、今回のこの旅は“平成中村座”の公演を見るのが第一の目的
だったんだから、紅葉シーズンどんぴしゃ!だったのは喜ぶべき事なのだった、
と、ハタ!と気付く(^-^;

20:41、新横浜到着。東京まで帰るSと車内で別れる。
大阪の町も京都もほとんど初めてに近い所ばかりを連れまわしてしまったね。
お疲れさまでしたm(__)m
帰宅して、「いづう」の鯖寿司を食べる。あ〜美味美味(^-^*
今回も面白い、なかなかいい旅だったなぁ。。

                                覚書。につづく。